Redcat51鏡筒でM81、M82を試す

2024.2.26は風が強く雲は流れ、今日はダメと諦めて早くからお酒を飲みに出かけました。ところが家に帰ると風は止み、空が晴れていました。何時曇るかわからないので簡単に設置、撤収のできるRedcat51を取り出し、適当にM81、M82に向けて私の最近決めた銀河撮影設定[L画像:IR 685Passフィルター、RGB画像:Hα(7nm),SⅡ(7nm),OⅢ(3nm)]で作業を開始しました。条件は以下のようです。

M81、M82, 2024.2.26, 撮影場所:我が家の玄関先, 赤道儀:HEM27EC , 望遠鏡: Redcat51:焦点距離250mm F=4.9 , カメラ:ASI294MMPro,  0℃ gain 300,  L画像:ZWO IR 685Passフィルター(30sec×40cycle), RGB画像:SVbonyHα(7nm),SVbonySⅡ(7nm),AntliaOⅢ(3nm)フィルター(各120sec×10cycle), Total 80min, Dark処理, ガイド:FMA135+ASI385MC(PHD2), ステライメージ9でコンポジット、フォトショップでトーンカーブ調整、DeNoise AI処理

アノテーション画像

L-RGB画像(トリミング無)

L-RGB画像(トリミング有)

大した画像処理もしないで私としてはスッキリとした銀河が撮影できたと思いました。

各種フィルターの鏡筒と焦点合わせの関係

フィルターホイールを回転して各種フィルターを変えたとき、その都度焦点距離を調整するのが億劫な私は現在保有している鏡筒とフィルターがどの程度焦点ズレが出ているのか確認を試みました。最近は天気の悪い日が続き、こんなことでもしないと退屈です。まずはSD81SⅡ(+レデューサー)での確認です。まずはUV/IR CutやLフィルターを基準として他のフィルターがどの程度焦点がずれるかです。焦点合わせは自宅2階から一番遠くに見えるマンション網戸で合わせました。かなり微妙な調整でいい加減な数値としてみてください。(それでも傾向は出ていると思います)一般にフィルター厚の1/3が焦点ズレと言われていますが今回の測定では必ずしも実際の鏡筒ではそうではないことがわかります。特に私が現在気にしているIR685PassフィルターでPlayer one品はフィルター厚が基準のIR Cutフィルターと肉厚が一緒で焦点合わせをする必要がないのではと購入したのですが予想に反して最もずれるものでした。逆に肉厚が薄いからダメだろうと考えていたSVbony品が意外と健闘しています。そして今まで基準フィルター(ZWO IR Cut)で焦点合わせをしてそのまま長時間露光撮影してきたSVbony Hα(7nm)、Oputoron L-Ultimateが良く焦点が合っていました。Sightron DBPフィルターは今までの私の感触とおりずれるようです。

SD81SⅡ(+レデューサー)でのフィルター間での焦点ズレ

そしてこれらの確認を他の鏡筒でも調査しました。

上記二つの鏡筒は電動フォーカサーがついていません。ダイアルに十字線を付けて調査しました。ダイアル差1.0が90°になります。Non フィルターが-0.5ということはダイアルを45°回したということでかなり微妙な値です。ただ、この調査で重要なことが判りました。セレストロンC8(+レデューサー)やμ180C(+フラットナーレデューサー)ではPlayer one IR685フィルターが基準のZWO IR Cutフィルターと焦点が良く合うことです。SVbony IR685はかなりずれます。

そして再度SD81SⅡ、更にR200SSでも調査しました。

これらの知見をもとに鏡筒ごとにフィルターを変更して楽ちん撮影したいと思います。

フィルター厚の調査

モノクロナローバンド撮影は私の天体撮影の環境(自宅庭撮り)、自身の能力(撮影、画像処理技術や根気の無さ)を救ってくれる唯一の方法です。基本的な手順は電動フィルターホイールにアメリカンサイズのフィルターを5~8枚セットして、No.1フィルターに光の良く透過するUV/IR(Player one)やIR Cut(ZWO)を取付、4~8sec露光で焦点合わせとプレートソルビングで対象を導入した後(正確に導入されたかは確認しないし、この時点では確認しようがない)、Hα、SⅡ、OⅢetcにフィルターを切り替えて露光時間を180~480secにしてその画像がパソコンディスプレイに映るまでにオフアキガイドを調整し、問題なければ本撮影を開始します。(この時点で対象が導入されていることは確認できますし、ほとんど失敗することはありません)そして、180~480sec露光中に焦点を調整することはほとんどありませんでした。まさにお手軽撮影です。但し、問題はありました。IR Cut(ZWO)で調整した焦点距離でQBPⅢやDBPフィルターに切り替えたとき「焦点が少しぼけるなー」、IR685(SVbony)では「だいぶん狂うやん」で調整はしていました。Hα、SⅡ、OⅢ(SVbony)はこんなもんかでほったらかしです。なにせ、長時間露光で焦点調整すると時間はかかるし、オフアキガイドも調整しなくてはならず大変です。しかし銀河をL(IR685)RGB撮影するに至ってUV/IR(Player one)やIR Cut(ZWO)とIR685の焦点を合わしておく必要に迫られました。フィルター厚の一致です。そこで今私が保有しているアメリカンサイズのフィルター厚を調査しました。メーカー値と私の測定値を以下の表にまとめます。(私の測定値はamazonで購入した玩具のような測定器で測ったもので参考程度に)

アメリカンサイズのフィルター厚(メーカー値と実測値)

これからわかるように各社ばらばらです。そしてSVbony(IR685)が大変薄く、これを使用していては焦点距離の調整が大変です。Sightron Japanも少し薄いような。そこでPlayer one品を購入したのですが少し厚いような。今はOptolongのIR Pass685に期待しています。

春の銀河祭りを前にして

昨年5月頃に撮影した銀河(M81、M82、M51、M101etc)の映像を見てるとほんとに情けなくなります。そして映像の改善を完璧にギブアップしています。新しいフイルターが開発されたおかげで光害の激しいところでも星雲の一部は大した工夫もなく良好な画像が得られます。私のような自宅庭撮りしかしないものにとってはおおいなる福音です。しかし銀河となるとそうはいきません。どうしようか思いあぐねたのですが、当分は「LRGB撮影で銀河を撮影」する。これは先日(2024.1.14)のR200SSでの撮影結果が今までの私としては最も良好でこれを踏襲するしか方法がないと結論を出しました。そして2024.2.16にM81をセレストロンC8(+レデューサー)で試してみました。この時、オフアキガイドの確認も行いました。

まずはL画像ですがIR685フィルターを適用します。

M81, 2024.2.16, 撮影場所:我が家の玄関先, 赤道儀:HEM27EC , 望遠鏡: セレストロンC8(+レデューサー):焦点距離1280mm、F=6.3) , カメラ:ASI294MMPro,  0℃ ,  gain 250, IR685フィルター, 75sec-20cycle, Dark処理, オフアキシスガイド:SEDNA-M(PHD2), ステライメージ9でコンポジット、フォトショップでトーンカーブ調整、DeNoise AI処理

この画像は焦点距離が合っておらず不分明ですが。次にRGB画像ですが、Hα(7nm)、OⅢ(7nm、3nm)で撮影してSⅡは撮影せずAOO画像としました。以下はHα(7nm)フィルターでの撮影結果です。

M81, 2024.2.16, 撮影場所:我が家の玄関先, 赤道儀:HEM27EC , 望遠鏡: セレストロンC8(+レデューサー):焦点距離1280mm、F=6.3) , カメラ:ASI294MMPro,  0℃ ,  gain 250, Hα(7nm)フィルター, 300sec-5cycle, Dark処理, オフアキシスガイド:SEDNA-M(PHD2), ステライメージ9でコンポジット、フォトショップでトーンカーブ調整、DeNoise AI処理

M81の輪の中にHαが見えます。これをモノクロ映像のアクセントにしようと考えました。そして合成したLRGB画像です。

今回はL画像が焦点ボケでしたがもっときれいに映せたらすっきりとしたものにならないだろうかと期待しています。また、OⅢフィルターは3nmを使用した時にHαやSⅡフィルターと露光時間が合致するので(OⅢフィルターの7nmはいつも明るい)今後はこれに固定しようと考えます。撮影時間は特別に長いことはないので、当面はこれで頑張ります。楽しい銀河祭りができますように。また、C8でもオフアキガイドは問題なく遂行できました。

セレストロンC8(+レデューサー)でメドューサ星雲(Sh2-274)とAbell 33の撮影

長い間セレストロンC8(+レデューサー)での撮影はありませんでした。R200SSに苦労しすぎたような。2024.2.13はR200SSで撮影しなれた(昨日したばっかり)対象をこれで試してみました。私のセレストロンC8はヤフオクで手に入れ、工夫してそれなりに活躍していたのですが道楽者で強欲の私はもっと良い鏡筒があるのではと別のものに手を出して要らぬ苦労をしているようです。この日の目的はもちろん第一に焦点距離は長くなり対象は大きく撮影できるもののF値が暗くなり映像がはっきりしないのではないかとの懸念に関する比較と、第2に今までのオフアキガイドがバックフォーカスや光路長(60~65mm)の短い鏡筒で適用に苦労してきたのですがそれがC8(+レデューサー)ではバックフォーカスが105mmが最適との情報があります。(今までの私のC8での撮影は最適とはかなりかけ離れた短いバックフォーカスであったことを最近知りました。こんなことは日本語での情報ではあまりなかったような。そしてHATENA ブログでC8を使用している人はあまりいないような。)そこで、バックフォーカスが長くなっても今の設定で問題ないかどうかです。(以前の試験ではC8で上手く行かなかった。)オフアキガイドを検討するようになってから鏡筒とカメラの間にフィルターホイールとオフアキを挟まねばならずその短い距離での設定に四苦八苦でした。まずはR200SSでの組み合わせオフアキをそのままC8(+レデューサー)に取付て撮影開始しました。ところがガイド鏡にはとても明るくボケた状態で星が映り、ガイドが出来ませんでした。焦点距離を調整しようとしましたがヘリコイドが限界に達してできずすぐに諦めました。(ガイド鏡の焦点距離もズレるなかな?)仕方ないので従来使用していたガイド鏡に切り替えて撮影を再開しました。

メドューサー星雲(Sh2-274), 2024.2.13, 撮影場所:我が家の玄関先, 赤道儀:HEM27EC , 望遠鏡: セレストロンC8(+レデューサー):焦点距離1280mm,F=6.3) , カメラ:ASI533MCPro,  0℃ ,  L-Ultimateフィルター,gain 300, 480sec-14cycle,Dark有,Flat処理無, ガイド:FMA135+ASI385MC(PHD2), ステライメージ9でコンポジット、フォトショップでトーンカーブ調整、DeNoise AI処理

R200SSで撮影したものより当然大きく映り、内容も遜色ありません。続いてAbell 33をターゲットにしました。R200SSではこれのプレートソルビングは上手く行かなかったのですが、今回は簡単に成立しました。「えらくC8調子いいね」が感想です。ガイドは順調でしたが撮影された映像は星が流れているものがありました。後で調べてみると鏡筒の取付部が一部緩んでいました.(これが原因かは確定できません)

Abell 33, 2024.2.13, 撮影場所:我が家の玄関先, 赤道儀:HEM27EC , 望遠鏡: セレストロンC8(+レデューサー):焦点距離1280mm,F=6.3) , カメラ:ASI533MCPro,  0℃ ,  L-Ultimateフィルター,gain 300, 480sec-7cycle(14cycle撮影するも星が流れたものがあり削除),Dark有,Flat処理無, ガイド:FMA135+ASI385MC(PHD), ステライメージ9でコンポジット、フォトショップでトーンカーブ調整、DeNoise AI処理

今回二つの結果は気分的にはいつものC8より良かったような。フランジバック105mmの効果だろうか。今回の撮影はオフアキを使用しなかったのですが、次の日にフラット撮影をしてみてびっくり。オフアキノズルが主鏡画像の影になっている。いろんな意味でオフアキガイドは一から出直しです。

オフアキガイド有          オフアキガイド無

今、判ったことですがAstroStreet製のオフアキ装置はバックフォーカスの長いものを対象に設計されたものなんですね。それを判らずカットしたりして。でもSD81SⅡ(+レデューサー:バックフォーカス;63.5mm)やR200SS(+コレクターPH:バックフォーカス;65mm)ではこれが必要でした。一方SD81SⅡ(+フラットナー:バックフォーカス;134.5mm)やセレストロンC8(+レデューサー:バックフォーカス;105mm)ではカットしなくても良かったかも。なんか泥沼に入ったような感覚ですがバックフォーカスを少し考慮するようになっただけでも進歩?更にセレストロンC8(+レデューサー)が意外?と優れていることに期待します。

メドューサ星雲(Sh2-274)への再挑戦とAbell 33へのアタック

2024.2.12はほんとに良く晴れました。実は2024.2.8からインフルエンザを発症して、12日はようやく熱が下がったばかりでしたが、誘惑に負け撮影を開始しました。目標の1番は以前に天候がやや不良で十分な露光が取れなかったメドューサ星雲(Sh2-274)と、かなり条件が良くないと上手く撮影できないといわれるAbell 33への初アタックです。

メドューサー星雲(Sh2-274), 2024.2.12, 撮影場所:我が家の玄関先, 赤道儀:HEM27EC , 望遠鏡: R200SS(+コレクターPH:焦点距離788mm、F=3.8) , カメラ:ASI533MCPro,  0℃ ,  L-Ultimateフィルター,gain 250, 480sec-10cycle,gain 400, 480sec-6cycle,Dark,Flat処理無, オフアキシスガイド:SEDNA-M(PHD2), ステライメージ9でコンポジット、フォトショップでトーンカーブ調整、DeNoise AI処理

私としてはかなりの長時間露光でオフアキガイドもしっかりしていて満足いく結果でした。これに気を良くして比較的低緯度でのAbell 33を電柱や電線のないところで待ち受けたのですが、どうしたことかプレートソルビングが上手く行かないうえにオフアキガイドがすぐに不調になるのです。メドューサー星雲では全然問題なかったのに。(原因は良く判りません)結果は以下のようで2枚だけ撮影ができました。

Abell 33, 2024.2.12, 撮影場所:我が家の玄関先, 赤道儀:HEM27EC , 望遠鏡: R200SS(+コレクターPH:焦点距離788mm、F=3.8) , カメラ:ASI533MCPro,  0℃ ,  L-Ultimateフィルター,gain 400, 480sec-2cycle,Dark,Flat処理無, オフアキシスガイド:SEDNA-M(PHD2), ステライメージ9でコンポジット、フォトショップでトーンカーブ調整、DeNoise AI処理

全く透明度がなくてとにかく存在だけがわかりました。まあこれからボチボチですが我が家で現在Abell 33を撮影できる時間は23:00~24:00と深夜なので、3月頃の夕食後に可能になるまで待とうと思います。それにしてもオフアキガイドができないのはどうしてだろう。

メドューサー星雲(Sh2-274)

ブログを始めて1年経ちました。自分のアーカイブとして始めたのですがいつもこれに接していると皆様のいろいろな情報も含めて刺激を受けます。能力がない中でも必死に足掻いている自分に気が付きます。2024.2.6は明日の早朝からの予定があるにも関わらずSh2-274(メドューサー星雲)を新規購入したR200SS、改善したオフアキでオートガイド、更にモノクロナローバンド撮影といった私にとって今までの集大成のような条件で短時間ですけど撮影しました。この時に判明したことですがR200SSに付けたコレクターPHのバックフォーカス65mmがほぼ達成できていることでもすっかり気分よくなっていました。しかし、残念ながら結構雲も現れて撮影枚数は少なかったです。

メドューサー星雲(Sh2-274), 2024.2.6, 撮影場所:我が家の玄関先, 赤道儀:HEM27EC , 望遠鏡: R200SS(+コレクターPH:焦点距離788mm、F=3.8) , カメラ:ASI294MMPro,  0℃ ,  gain 250, Hα(7nm)180sec-5cycle, SⅡ(7nm)180sec-2cycle,OⅢ(7nm)180sec-4cycle,Dark,Flat処理無, オフアキシスガイド:SEDNA-M(PHD2), ステライメージ9でコンポジット、フォトショップでトーンカーブ調整、DeNoise AI処理、拡大トリミング

ASO画像

AOO画像

SAO画像