PHD2の採用

今までオートガイドはSSone-AllinoneGuiderを使用してきました。特にパソコンでの操作も必要とせず、簡単に操作できて、ほとんどの皆さんが使用しているPHD2を使う必要を感じてきませんでした。しかし、i-Optronのi-guiderについては構成から見て、SSone-AllinoneGuiderと同程度の性能と判断していましたが、ガイド鏡の選択幅が増えることによるガイド精度の向上やオフアキシスガイダーの使用検討なんかの情報を見ますとPHD2に興味がどんどん出てきました。最近は天気が良くなく梅雨入りも近いことから、この間にPHD2について勉強することにしました。

PHD2の採用に躊躇してきた理由になんか難しそうだなってことと、私のパソコン操作の好みもあります。とにかくディスプレイ画面はシンプルにしたいことです。星空撮影で現在ディスプレイに表す項目はHEM27ECの極軸合わせ画面、マウント操作画面、SharpCap操作画面です。電子ファインダーも当初はSharpCapで映していたにですが、2画面になるのでSVBONYのSC001でタブレットで見てきました。PHD2が入るとさらに複雑になると思ったのです。そうはいっても興味は尽きないですネ。多くの先輩諸氏の情報をもとにソフトをインストールして、操作を開始しました。

導入開始にあたって最終的に参考にしたのはシュミットブログの「PlayerOneのカメラをPHD2でオートガイダーとして使う方法」とI Optronのマニュアル書「I-Optron iGuider Integreted Guiding System Instruction」です。そして機器は主鏡がRedcat51に533MCPro、ガイド鏡にFMA135と385MCを用いました。結論を言いますとガイドカメラ、マウントの選択をきちんとやればそれでOKだったのですがなかなかそこに行きつきませんでした。

最初に選択したカメラ項目はZWO ASI Cameraでした。これが当然と考えました。そしてマウント項目にはOn-cameraを選択しました。シュミットブログではこの方式の採用を推奨していたのと、いままでSSone-AllinoneGuiderではST-4でガイドカメラとマウントを接続してきて問題なかったのでこれも当然と考えました。そしてAUXマウントにはHEM27ECを入れました。これでPHD2を稼働して最初は画面でいろいろボタンを押しましたが、ダークがどうだとかありましたが、白い画面(昼間にやっている)が出てきてこれが正方形なんです。どう見てもガイドカメラの385MCではなくて、主鏡の533MCProなんです。その後、二つのカメラの接続を付けたり外したりしましたが、二つを同時につなぐと主鏡の533MCProの画面が現れます。工具マークのボタンを押してもPlayer Oneのようなカメラ選択画面が現れません。この状態では、カメラを選択できないのです。もう一つの問題点はOn-cameraが作動していないようなんです。考えた末に以下の条件に変更しました。

カメラ項目を ZWO ASI Camera → ASI Camera 1 (ASCOM) に変更しました。これで工具マークのボタンを押してガイドカメラの385MCが選択できるようになりました。そして、マウント項目は On-camera → HEM27EC にして、AUXマウントは無しです。ST-4は使用しません。これで全て上手くいきました。上手く行くと「なーんだ」ってことになりますが、途中は「どうして?」、「どうして?」でした。その夜にRedcat51と533MCProで撮影したM3を貼り付けておきます。

我が家のベランダから Non-フィルター, gain 350, 32sec×6cycle, -5℃ 

 

C8(+レデューサー)で楽しむ

最近の天体写真はC8ばかりを使用して楽しんでいます。私の一番大型の鏡筒がどんな天体写真を写すのか色々試しています。昨晩(2023.5.23)は三日月と金星がきれいでした。お月様で望遠鏡の焦点を合わせた後、また、M81を撮影しました。前回の撮影でフラット処理をしてたのですが、何故か全体の明かりが不自然だったので、今回はフラット処理を外しました。そしてオートガイドをかけて60secでライブスタックしたのですが、何故かオートガイドが上手くいかず(風が強かったためでしょうか?)仕方なく15secに変更して撮影しました。その後、M97を撮影しました。C8でM97を撮影すると画像処理をほとんどしなくても様になります。体力も気力も衰えつつ私にとって、玄関先でHEM27ECとC8で撮影できる夜空は格別です。

自宅玄関先, C8(+レデューサー), 533MCPro, CLSフィルター, gain 400,  4.88ms×1frames, -5℃

自宅玄関先, M81,ライブスタック(オートガイド無, フラット処理無), C8(+レデューサー), 533MCPro, CLSフィルター, gain 400, 15sec×164frames, -5℃, フォトショップでトーンカーブ処理

自宅玄関先, M97,ライブスタック(オートガイド無, フラット処理無), C8(+レデューサー), 533MCPro, CLSフィルター, gain 400, 15sec×150frames, -5℃, フォトショップでトーンカーブ処理

いつも同じような対象を撮影していますが、私としては少しづつ条件を替えて勉強しているつもりです。

C8(+レデューサー)でM81、M82を再撮影

2023.5.20はC8と533MCProでライブスタックしたM81の映像があまりにみじめに見えたので、大きく撮ることを目的にすることを諦めてC8にレデューサーを付けてF値を上げ、撮影時間も延長して明るく撮ることを試みました。

自宅玄関先 M81,C8(+レデューサー), 533MCPro, CLSフィルター, 60sec×41frames, -5℃

フォトショップトーンカーブ処理

自宅玄関先 M81,C8(+レデューサー), 533MCPro,  CLSフィルター, 60sec×41frames, -5℃

フォトショップトーンカーブ処理

C8で銀河を撮るときはレデューサーを付けて明るく撮るほうがはっきり映るようです。拡大率は下がりますが、明かりの少ないところまで映り、銀河が大きく見えます。

 

M81の画像の劣悪さに愕然

2023.5.16にライブスタック撮影において、M81を対象にしてダーク、フラット処理効果を検証しました。その効果は明らかにあったのですが、その中で非常に気になったのがC-8と533MCProで撮影したM81の画像の悪さです。とてもM81には見えない代物でした。ダークやフラットを検討する以前の問題でした。M82では同様の撮影で特に気にしなかったのですが、M81では周辺の薄い渦が全く表現できないのです。それで今回は(2023.5.17)ライブスタック条件を替えてM81の画像が改善できるのか調査しました。その時のダーク、フラット条件は先日(2023.5.16)のものをそのまま横滑りさせました。理由は撮影条件を替えても効果があるかどうかの確認です。(条件を替えれば適用できないとのことですが、自分で確認したかったのです。横着な考えなんですが)撮影条件は画像が良くないのは光量の不足と考えgainを300から400に、撮影時間を15secから30sec,60sec,90secと延長して比較しました。

撮影期日:2023.5.17  自宅玄関先 C-8 533MCPro CLSフィルター -10℃ gain 400

30sec×42frames(1260sec)

60sec×22frames(1320sec)

90sec×14frames(1260sec)

90sec×14frames(1260sec) フォトショップトーンカーブ処理

結論は露光時間を延長すればわずかに改善されるようですが、大きな変化はありません。また、ダーク、フラットの横滑りはできません。新たに撮影しなければいけないんですね。これからまじめにやります。今後ですがC-8にレデューサーを付け、フィルターも色々変え、またM81に挑戦します。亀の歩みです。時間はなんぼでもあります。

ダーク、フラット処理(その2)

2023.5.16は昨晩に引き続き快晴でした。この日はM81を対象にダークとフラットの有無による影響を調査しました。ダークは前日の撮影をそのままで使用し、フラットは新たに当日の昼間に自室で作成したものを適用しました。

撮影期日:2023.5.16   撮影条件:C-8, 533MCPro, CLSフィルター , ライブスタック 15sec×88cycle(Total 22min)  ダーク、フラット処理の有無比較 対象:M81

ダーク、フラット処理有(オートガイド有)

フラット処理有、ダーク処理無(オートガイド有)

フラット処理無、ダーク処理有(オートガイド有)

ダーク、フラット処理有(オートガイド有)画像をフォトショップトーンカーブ処理

ダーク処理は絶対しなければいけないようです。フラット処理も必要。しかし、今回もっと気になったのはM81の先輩方の画像とは似ても似つかぬボケたもの。以前にC-8と294MMProで撮影したものと比較しても最悪。C-8と533MCProは無理なのか?

ライブスタックにおけるダーク、フラット処理

今まで、ナローバンド多数枚撮影をしていてあまりダークノイズを問題にしていなかったのですが、先日のC-8でのライブスタックでダークノイズの多さにびっくりしました。星空撮影初心者の私は手軽にきれいな星の姿が見えることが肝要で、ノイズの除去なんかの面倒くさいことは避けてきました。(時間もかかるし、画像処理で誤魔化すこともできそうで)しかし、だんだん「そうとも言えないなー。SharpCapではダーク処理、フラット処理の機能もあるし、カメラセンサーの掃除も最近したし」と考えが変わってきだして、その効果がどれほどのものかテストすることにしました。

撮影日:2023.5.15 撮影機材:C-8, 533MCPro 撮影条件:ライブスタック撮影  CLSフィルター, 15sec×88cycle(22min)  ダーク、フラット処理有無の比較 対象:M82

ダーク、フラット処理有(オートガイド無)

ダーク、フラット処理無(オートガイド無)

ダーク処理有、フラット処理無(オートガイド有) 

ダーク、フラット処理無(オートガイド有)

ダーク、フラット処理有(オートガイド無)をフォトショップで処理

結果は写真のように一目瞭然でダーク、フラット処理はたいへん効果があることが確認できました。今頃こんな結論でびっくりするなんて、ほんとに初心者です。しかし、費用対効果といいますか、労力対効果といいますか、自分で確認しないと納得できないのも事実です。この時のダーク、フラット撮影は撮影場所の庭ではなくて、事前に自室で行ったものでこれで十分であることも確認出来て良かったです。

 

C-MOSカメラの清掃

ライブスタック撮影を始めて、C-MOSカメラ(533MCPro)があまりにも汚れているので当初はフラット処理で逃れようかと思っていたのですが、やっぱり掃除をしたほうが良いのでは考えるようになりました。連休明けは仕事のない老人の旅の季節になり、そのため天体観察がおろそかになって、フラット処理の検討撮影もしなかったこともあります。

まず、ライブスタックを想定して、フラットデータは以下の条件で行いました。

望遠鏡:C-5,  フィルター:CLS,  gain:300,  時間:15sec×10cycle 撮影画像はSharpCapでのフラット画像のaverageで得られたものです。

清掃前のフラット画像です。汚れがひどいです。

保護ガラスを外してセンサー面の汚れを確認しました。センサー面も汚れていますが保護ガラスの汚れもひどいです。

センサー面をSwapで清掃しました。以下の写真でだいぶんきれいになったようですが、まだまだです。

Swapを再使用して、清掃。清掃の意味はなさそうです。

新しいSwapで再清掃。きれいになりました。

センサー面がきれいになったものに、保護ガラスを水洗いして被せた後の写真です。曇っているところはありますが、清掃前より改善されたと思います。

その後、405CCでも清掃を試みました。あまり良い結果ではなかったのですが、そこでSwapがなくなったので中止です。

今回の結果をまとめますとC-MOSカメラはセンサー面も保護ガラスも汚れている。私的には完全に汚れを取り除くのは難しいのではと思いました。後はフラット処理や画像処理で誤魔化すのか?また、Swapの再利用は止めたほうが良さそうです。となるとSwapがいっぱい必要ですね。なにか良い方法はないものでしょうか。

とにもかくにも掃除はあまりしたくありません。